【最新】カスタマーハラスメント(カスハラ)対策を就業規則にどう盛り込むべきか?

近年、顧客や取引先からの著しい迷惑行為、いわゆるカスタマーハラスメント(カスハラ)が深刻な社会問題となっています。従業員のメンタルヘルスを守り、人材流出を防ぐことは、今や企業の存続に関わる重要課題です。

実のところ、これまでのハラスメント対策は社内の人間関係(パワハラ・セクハラ)が中心でしたが、現在は「外部からの侵害」に対しても企業が安全配慮義務を果たすことが強く求められています。

本記事では、カスハラから社員を守り、毅然とした対応をとるために、就業規則へどのように対策を盛り込むべきか、具体的な実務ポイントを解説します。

なぜ今、就業規則に「カスハラ対策」が必要なのか

企業には、従業員が安全で健康に働けるよう配慮する「安全配慮義務」があります。

法的背景と企業の責任

厚生労働省の指針により、パワーハラスメント防止対策の一環として、顧客等からの著しい迷惑行為に対しても「相談体制の整備」や「被害者のケア」を行うことが望ましいとされています。

安全配慮義務の履行

対策を放置し、社員が精神疾患を患った場合、企業は損害賠償責任を問われるリスクがあります。

人材の定着

カスハラを「現場の責任」にせず、組織として対応する姿勢を見せることで、従業員のエンゲージメントが高まります。

カスハラ対策を明文化することは、社員に対し「会社はあなたを一人にしない」という強力なメッセージになります。

就業規則に盛り込むべき「4つの柱」

単に「カスハラを禁止する」と書くだけでは不十分です。具体的には、以下の4点を軸に規定を整備することが重要です。

1. カスハラの定義を明確にする

何がカスハラに該当するのか、具体的態様を例示します。

大声での罵倒、執拗な問い詰め。

法的な根拠のない金銭要求、土下座の強要。

長時間の電話や居座り。

従業員の氏名や顔写真をネットに晒す行為。

2. 相談窓口と対応フローの設置

相談先を明記し、事案が発生した際の初動をルール化します。

スクロールできます
項目内容
相談窓口既存のハラスメント相談窓口を「カスハラ」にも対応できるよう拡充する。
現場の権限一定の基準を超えた場合、現場判断で「対応の打ち切り」を許可する規定。
組織的対応担当者一人に任せず、必ず複数名や上席者が介入する体制の明記。

3. 被害者(従業員)の保護と事後ケア

被害を受けた社員への不利益な取り扱いを禁止し、メンタルケアを行うことを定めます。

4. 顧客への対応方針(契約解除等)

服務規律だけでなく、取引先や顧客に対しても「ハラスメントがある場合はサービスの提供を停止する」といった姿勢を打ち出します。

「お客様は神様」という過度な意識を捨て、どこからが「不当な要求」なのかの線引きを会社が示すことが実務の第一歩です。

服務規律と懲戒規定への反映方法

カスハラ対策を就業規則に盛り込む際は、本則の「服務規律」セクションに追記するのが一般的です。

是正報告書作成のステップ

加えて、以下の点に留意して条文を構成します。

運用のための「マニュアル」との連携

就業規則はあくまで「ルール」です。したがって、実際の現場でどう動くかは、具体的な「カスハラ対応マニュアル」を別途作成し、教育(研修)を行うことがセットで不可欠です。

就業規則を変えるだけでなく、現場の「対応マニュアル」と連動させることで、初めて規程が血の通ったものになります。

まとめ

カスタマーハラスメント対策を就業規則に盛り込むことは、もはや企業の社会的責任と言えます。
顧客からの暴言や理不尽な要求は、従業員の心身に深い傷を負わせるだけでなく、企業の生産性やブランドイメージを著しく低下させます。

対策の第一歩は、就業規則にカスハラの定義を明確にし、会社として「不当な要求には屈しない」という基本方針を明文化することです。

具体的には、相談窓口の設置、組織的な対応フローの構築、そして被害を受けた従業員へのメンタルケアを規定に含める必要があります。また、現場担当者が独りで抱え込まないよう、一定の条件下で対応を打ち切る権限や、上司へ交代するルールを定めることも有効です。

これらの規定は、労働基準法上の安全配慮義務を履行している証左となり、万が一の法的紛争からも会社を守る盾となります。

就業規則の改定と併せて、現場での対応マニュアル整備や社員研修を実施し、組織全体でカスハラに立ち向かう体制を整えることが、持続可能な経営に繋がります。

深澤事務所へのご相談はこちら

社会保険手続きをはじめとした、
人事・労務に係るさまざまな業務に対応致します。

人事・労務に関することでお悩みでしたら、
ぜひ一度ご相談ください。

対面やオンラインでご相談ができます。